久しぶりの投稿だから、もっと煌びやかな話題にすればよかったのだが、最近の発見はここ、近所のクルドレストランだ。名は「ディラン」(Dilan)。外観は暗く古めかしく、埃っぽいような雰囲気で、食欲をそそるものではない。

クルドレストラン

クルドレストラン

クルド人は中東クルディスタンの山岳民族。トルコ、イラク、シリアなどに住む、独自の国家を持たない世界最大の民族集団だ。イラクやシリアで過酷な虐待にあっている。それ以外は残念ながら何も知らない。パリの「トルコ屋」といえば、ケバブ屋を指が、実はこれもクルド人が経営していることが多いらしい。

オリーブをピュレ―状にしたもの。上にはフェタチーズ。

オリーブとトマトをピュレ―状にしたもの。上にはフェタチーズ。

初めて出会ったクルド料理は素朴で質感があり、さりげなくおいしかった。

オリーブとトマトのペーストのような前菜は、パンが必需。パンは、写真を撮り忘れてしまったが、ケバブでお馴染みの平たく丸い、ちょっと厚みのあるパン。しかしここのパンは、ケバブのパンよりもかなりウマイ。外がカリッと、中はしっとり、程よい弾力性もある。オーブンで温めて出てくるのか、温かい。

オリーブピュレの上に乗っていたフェタチーズも発見だった。フェタチーズと言えば、羊乳のギリシャのチーズと理解しているが、この地域にはどこにでもある。一概に「カマンベール」と言ってもいろんな種類があるように、フェタ―チーズも微妙に違う。

ここのフェタは、塩加減が上品で、味も食感も柔らかく、食べやすい。

とても気に入った、この前菜。

地元のソーセージとパプリカの前菜

地元のソーセージとパプリカの前菜

「地元のソーセージ」とメニューに表記。アルミホイルに包んだ蒸し焼きだ。開けてみると単純な外観に多少がっかりした。ソーセージ、パプリカ、そしてトマトを切って包んで焼いただけにしか見えない。

しかし、食べてみると美味!ソーセージはスパイシーでピリッと唐辛子がきいている。酸味も強い。パプリカの甘みと抜群にマッチする。極薄に切り、下に敷いてあるトマトは水っぽいソースのようにトロトロになっている。

癖になりそうだな、「地元のソーセージ」。

羊の煮込み

羊の煮込み

メニューには「アニヨー」、子羊と書いてあるが、匂いからして大人か、ティーンエージャーの羊だろうな。素朴な煮込み料理は、ほっとする。ソースがおいしいので、パンをたくさん食べてしまう。

ズッキーニの詰め物

ズッキーニの詰め物

野菜嫌いの私だが、この野菜料理はかなりの珍味。

ズッキーニに米を詰めて、トマト系のソースで煮込み、仕上げに酸味のきいた乳製品をかけてある。

夫はワインを飲んだが、私は「発酵乳」に挑戦してみた。ワイングラスに注がれた白い液体は、「牛乳」というよりも塩を加えた「液状ヨーグルト」のようだ。インドのラッシーを思い出す。冷たくて不思議においしいのだが、ズッキーニにたっぷりかかっている乳製品も、この「発酵乳」ではないだろうか。さっぱりしたクリーム?滑らかなヨーグルト?とってもナチュラルな香りが美味。

ワインはトルコのドルージャ

ワインはトルコのドルージャ

ワインは赤のトルコワイン、ドルージャ・アンティーク(Doluca Antik)の2010年。コクと甘みのある荒っぽいワインだが、ここの料理とよく合う。

デザートはカダイフ

デザートはカダイフ

デザートはカダイフを注文してみた。こちらは失敗。恐れたほど甘くはないが、コチコチに硬く、うまくない。

内装もクルドな雰囲気

内装もクルドな雰囲気

パリ中心部のレ・アル界隈は、最近トレンディーな店が次々オープンしている。うまくもなく、まずくもなく、小洒落た薄っぺらい料理ばかり出してくる。住民としては非常に退屈だし、満足感がない。

「ディラン」で出会った山岳地帯のクルド料理は決して洗練されたものではない。しかし、ちゃんとした素材を使って真面目に作っている。量もたっぷりだし、素朴な味わいが嬉しい。トレンディーじゃないから、逆にとても新鮮なのだ。

Dilan
11 rue Mandar
75002 Paris
Tel +33 1 40 26 81 04
* ランチメニュー 10€(前菜、メイン、デザート、ヨーグルトかワイン)
夜はア・ラ・カルト 前菜7€~、メイン12€~