2014年秋。パリの高級ホテルの動きは激しい。「シャングリラ」のシェフ、フィリップ・ラベが解雇。「ホテル・リッツ」のシェフ、ミシェル・ロットの契約は更新されず。

そして急にとびこんできたニュース。ホテル「ジョルジュ・サンク」のシェフ、エリック・ブリファールも解雇。代わりにクリスチャン・ルスケール氏が就任。

私は2012年に「ル・サンク-エリック・ブリファール」の本を出している。それだけにショックだった。

せっかく、2015年こそ三つ星を取る、と期待していたのに。

クリスチャン・ルスケールはパリ「ルドワイアン」の地味で目立たない三つ星シェフだった。夏前に「ルドイアン」を辞めたのだった。

ルスケール氏が就任して数週間もたたないうちにホテル・ジョルジュサンクのメインダイニング、レストラン「ル・サンク」が三つ星を取るとの噂。

私は、「ル・サンク」がパリのホテルレストランの中で一番好きだ。就任早々三つ星候補として上がったルスケール氏の料理にも興味があった。

ルサンク

レストラン「ル・サンク」は古臭いという声も上がっているが、私はこの古臭さが好き。優雅な一時はまさにヨーロピアン。サービスもフランスらしく、フレンドリーだがプロフェッショナル。

 

おいしいものもあった。特にパンはペロッと2つ食べてしまった。小アントレの牡蠣は非常においしかった。さすがブルターニュ出身だ。

最後に出てきたクイニャマンもバターたっぷりで美味だった。度胸も食べ我意もあり、私は好き。

しかし、アントレに出てきた帆立のはんぺんもどきは、ウマくない。

次のアントレの「ここで一番おいしい」と友人に聞いていた玉ネギは特に感動せず。

期待の的だった黒トリュフのパイはなんとなく味が薄っぺらい。パンチがない。

私はブリファール氏のピティヴィエが恋しくなった。

(ブリファール氏が頸になったと聞いた時、まっさきに頭に浮かんだことは不謹慎にも「たいへんだ!ピティヴィエ!ピティヴィエどうなる???」だった。私が特に卑しいからじゃない。実は多くの人がそう思ったはずだ。それだけブリファール氏のビティヴィエは素晴らしい、類の無い、料理なのだ)

 

今日のメニューはシェフ「お任せ」ということもあっただろうが、薄っぺらかった。

「シェフお任せ」は今日のように、日本人女性二人でレストランに行くと、軽く扱われることが多い。

「軽く扱われる」というのは、バカにされる、という意味ではなくて、「小食だろう」「肉を食わないだろう」と予想され、勝手に軽くされる、ということだ。

しかし私は、普通のフランス人よりも量は食べるし、特に肉を必要とする。肉が出てこないと、食べた気がしないのだ。

今回は、最後にリ・ドゥ・ヴォーか鹿が出てきていたら、食事全体の印象が違ったかもしれない。

肉を食べにもう一度行くか。今日退屈したから行かないか。どっちかな。

何しろ、大好評のはずが、このレベルのはずが無いではないか?理解に苦しむ。自分の体調が悪かったのか、今日の空気が悪かったのか?とついつい、疑ってしまう。

だから、もう一度行くかもしれないな。

とりあえず、今日のご報告。

 

アミューズは3種

アミューズは3種。特に印象に残らず

 

フーガスのようなオリーブパン

フーガスのようなオリーブパンは、熱々で美味しかった

 

穀物のパン

穀物のパンは、バターたっぷり。パンというよりフイテ。こちらも美味。あっという間に食べてしまう。

 

牡蠣

牡蠣のグラティネ。古風な料理だが、塩もクレームも実に軽く、なかなかおいしかった。

 

帆立のすり身?

帆立のはんぺんのように仕立てた料理。そば粉のテュイルと海藻ソース。私が日本人だからかな?まずい。ジュレ仕立ての海藻は意味不明。まったく狙いが理解できなかった。

 

玉ネギ

玉ネギの料理。自慢の一品で、お客さんにも好評。私はべつに。

 

トリュフのパイ包み

トリュフのトゥルト。カッコいい!

 

切って、ソースをかけてくれる

切って、ソースをかけてくれる

 

中身はこんな感じ

中身はこんな感じ。大胆なトリュフの切り身。それともちろん、フォアグラ少々。ソースもトリュフ。

 

お口直し

お口直し。特に印象残らず。

 

ミニャルディーズ

ミニャルディーズというのか、デザートの付け合わせというのか。あってもなくてもまったく人生変わらず。

 

ミルクとイーストのデッセール

ミルクとイーストのデッセール、甘くなく、超淡白。「上品」と「食べ甲斐がない」の国境はきわどい。

 

ショコラのデセール

チョコレートのデザートは濃厚でおいしかったが、イマイチパンチに欠ける。

 

クイニャマン

さすがブルターニュ出身のシェフ、クイニャマンはバターが流れるようにたっぷり。でも、食後に、バターギトギトの、拳サイズのお菓子がペロッと入っちゃうのって、やっぱりおかしくない?