Au Petit Tonneau (オー・プティ・トノー)、「小さな樽屋」

床は古くさいタイル張り。テーブルクロスはヴィシーの赤と白のチェック。

その奥からシャンソンでも聞こえてきそうな陰だらけのダイニング。ウィンドーから見えるパリの片隅は200年間?300年間?変わっていない。

推理小説でお馴染みのジョルジュシムノンが通ったらしい。私は大ファンなので、それだけでワクワクする。

ああ、しかし。長い間この雰囲気は味わっていなかったな・・・メグレ警視の足元に運河の水がパシャッ、パシャ。冷たく暗い雨で湿った彼のパイプの匂い。セーヌ川。サン・マルタン運河。秋の雨。パリの「水」の存在が強烈な小説の雰囲気がここにある。

メニューは単刀直入。ビストロらしい、飾らない料理名。

« Escargots de Bourgogne (la douzaine) » <ブルゴーニュ産エスカルゴ(1ダース)>

« Les œufs en meurette » <半熟卵のブルゴーニュワインソース>

« Chateaubriand, sauce au poivre » <シャトーブリアン、ペッパーソース>

« Rognon de veau, sauce Madère » <仔牛のロニヨン、マデラソース>

そしてもちろん、« la tarte Tatin et sa double crème » <タルトタタン、ダブルクリーム> と « la crème caramel » <クレームキャラメル>

今日のお昼は、60歳を数十年前に祝った老夫婦ばかりだった。多分、昔々からの常連さん。

確かに若干わざとらしいかもしれない。ここまでビストロらしいビストロは自然ではないような気がする。それに、思い出よりもちょっと素敵過ぎる感じがする。

料理はつるっと、粗さに欠ける。シェフは若く、元気のいい青年なのだろう。ワインのラベルも真っ白く、きれいで、メグレ警視がビストロで飲みそうな安いコニャックの香りよりも、清潔な現代ワインを想像させる。

それでも、大好きなメグレ警視の席に座り、今日と昔日を行ったり来たりして、私はとても幸せな時を過ごした。

Au Petit Tonneau
20 rue de Surcouf
75007 Paris
電話 +33 1 47 05 09 01

http://www.aupetittonneau.fr/index.php/fr/

 

アミューズは赤ラディッシュと塩。学校の給食で食べさせられたな。小トマトは現代風。

アミューズは赤ラディッシュと塩。昔、学校の給食で食べさせられて・・・でも鮮度が良く、辛みがない。小トマトは現代風。

 

こういうものは、アミューズなんて言わない。アペリティフ、通称「アペロ」だな。ソシソンとピクルス。ちょっと薄い。

本当はこれ、アミューズなんて言わない。アペリティフ、通称「アペロ」だな。ソシソンとピクルス。もうちょっと厚みが欲しい。

 

エスカルゴもなんとなく上品で、小ぶり。でも、ちゃんと一人目の12個が嬉しいな。だって、最近半ダースなんて、せこいエスカルゴあるくらいだからね。

Escargots de Bourgogne. エスカルゴもなんとなく上品で、小ぶり。でも、ちゃんと一人前。だって、最近は、半ダースの、つまり半人前のエスカルゴが出てくる時代だからね。パンをちぎって、殻の中にぎゅうぎゅう詰め込んで、パセリガーリックバターを拭うのが子供の時からの癖。

 

私のアイドルが刻まれたプレート!

私のアイドルが刻まれたプレート。

 

アスパラ、ハーブのドレッシング、削りパルメザン

Asperges vertes, vinaigrette d’herbes, copeaux de parmesan. アスパラ、ハーブのドレッシング、削りパルメザン。

 

仔牛のロニヨン(腎臓)。シンプルで美味。付け合わせのジャガイモがこれまた超うまい。

Rognon de veau. 仔牛のロニヨン(腎臓)。シンプルで美味。付け合わせのジャガイモがこれまた超うまい。

 

仔牛のブランケット。ブランケットとは、生クリームとレモン果汁をベースにした煮込み伝統料理。

Blanquette de veau. 仔牛のブランケット。生クリームとレモン果汁をベースにした煮込み伝統料理。

 

Tarte tatin. タルトタタン。クレームがクネル状か・・・やっぱりシェフは若いのだな。

Tarte tatin. タルトタタン。クレームがクネル状・・・やっぱりシェフは若いのだな。

 

Crème caramel. クレームキャラメル(プリン)。伝統ビストロデザートだが、ちょっとキメが細かすぎる。アメリカ人や日本人には食べやすいかも。

Crème caramel. クレームキャラメル(プリン)。伝統ビストロデザートだが、ちょっとキメが細かすぎる。アメリカ人や日本人には食べやすいかもしれないが。

 

1930年代から通っている常連さんのムッシュとマダムのお名前が。

1930年代から通っている常連さんのムッシュとマダムのお名前が。

 

ワインボトルも並ぶと爽快。グラスで色々飲めるから楽しい。

ワインボトルが並ぶと可愛いな。グラスで色々飲めるから楽しい。

 

最近見ない、懐かしいタイルと、懐かしいガラス戸。「トイレ・電話」と刻まれている。字体も昔のまま。

最近見ない、懐かしいタイルと、懐かしいガラス戸。「トイレ・電話」と刻まれている。字体も昔のまま。